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常識

2013年5月8日(水) by キヨタカ

私の母は、いわゆる常識人である。
 
「普通が一番」という価値基準で全てを判断する。
 
問題は「何が普通か?」という事なのだが、母にとっては「世間の常識」という事で完全に納得していて羨ましいくらいに疑いがない。 
 
私が10歳の頃、近所のお兄さん(かっちゃん)が東大に合格したというので評判になった。
 
母「かっちゃんすごいね。東大に合格したんだって!」
 
キヨタカ「僕も行ける?」
 
母「そりゃ絶対に無理。あそこはう〜んと頭の良い人が行く大学だから」
 
キヨタカ「じゃ、京都大学は?」
 
母「絶対に無理に決まってるわ。だってお父さんとお母さんの子供だからね」
 
キヨタカ「じゃ、東北大学は?」
 
母「そうね、近所の○×さんの息子さんが行けたんだから一生懸命頑張れば行けるかもよ」
 
・・・他にも、「大企業に就職するのが幸せ」。「結婚はお見合いが一番で私が将来の嫁さんを選んであげる」等々を、日常会話の中で何度も聞かされて育った。 
 
子供時代から「素直」な性格だった私は、そのまま言われた通りの事を鵜呑みにして・・・
 
「海を青い」と母親から教わったら、そのまま素直に信じてしまう。 
 
そして実際に海を写生しようとして眼前の海を見た時にそれが青くも赤くもないと感じた時・・・
 
小林秀夫(評論家)によると、実際の海の色に愕然として色鉛筆を投げ出すのが「天才」と言うらしい。
 
私の場合、愕然として、「青く見えない自分が変だ」と思ってしまった。
 
そして自分の感性を押し殺して、せっせと色鉛筆を握ってあれこれと頑張った。 
 
「天才」じゃなかったのね、と言われればその通り、と以前は思っていた。
でも、今は違う。
 
人は誰もが生まれながらに天才なのだが、それが完全に眠りこけてしまったのだと思う。
 
その結果、私は東北大学を卒業後、大企業に就職した。
 
後は結婚して孫の顔を見るのが、母の唯一の望みだった。
 
ところがその後、私の人生は思わぬ方向へ導かれることになり、母の夢はあえなく潰えてしまったのである。
 (その辺りの詳細に興味のある方は「覚者を求めて」を参照して下さい)
 
 
最近は、私が子供だった頃の事を母と良く話し合う。
 
ところが、「東大は絶対無理」「お前の嫁さんは私が探す」「大企業に就職」等々について、「そんな事をお前に言った覚えはない」と不思議そうに言うのである。
 
子供の頃に子守唄の様に何度も聞かされた事だったので、「ついにボケたか!」と思ったが、どうやらそうではなさそうだ。
 
母の「常識人」ぶりは徹底しているので、世の中の価値基準が変化するにつれて母の常識も次第に変化していく。
 
だから、自分が常々話す事の価値基準もいつのまにか変化して、以前の常識は忘れてしまうらしい。
 
だから今では「健康で長生き」するのが一番、という常識で生きている。
 
私も「健康で長生き」は大賛成だから、母の常識とは正反対の路線を突き進んだ私の道は、再び母の常識と整合し始めたようだ。
 
もっとも、「息子夫婦と同じ屋根の下で孫に囲まれて過ごす」という常識は、残念ながら満たされなかったが・・・
 
「世の中全て思い通りの人生を歩める人などいない」という常識に免じて、諦めて欲しい。

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